自治と地方自治

2018年8月29日 01時13分 | カテゴリー: 活動報告

 8月26日、公益財団法人 地方自治総合研究所所長 辻山幸宜さんを講師にお迎えし、「自治と地方自治」の学習会が開催されました。

 自治体には、東京大学教授金井利之氏によれば、作った人々の思いに応える、住民集団の側面を重視した「群民的自治体観」と、管轄区域内での行政サービス提供機構の側面を重視した「機構的自治体観」があると言います。

 人口減少と高齢化で行政の運営が厳しくなる2040年問題に対して、自治体戦略2040構想研究会報告書では、「AI・ロボティクスによって処理することができる事務作業はすべてAI・ロボティクスに任せ~従来の半分の職員でも」「標準化された共通基盤を用い効率的にサービスを提供」「新しい公共私の協力関係を構築」「圏域マネジメントの仕組み」が取り上げられています。これは機構的自治体観への転換ではないかと辻山さんは言います。

 そこでどのように自治体ができてきたかの歴史を振り返りました。はじめは家族の協力、近隣住民の互助、コミュニティの共同作業など住民の「ちから」で治め、「治める」ためのルール村極め・村掟がありました。その後、住民の「ちから」が弱まって自治政府を作ることになります。自治政府には村寄合があり雇傭人もいて共同作業を代わってしてもらうことになります。それが市民の手を離れ、近代国家の自治体政府として国の地方行政機関になり、戦後は「政府の時代」のもと、住民は統治されるものとなり、行政の力に依存する生活になりました。

 しかし高度成長期の終わり頃から、「政府の時代」の翳りを迎えます。雇用と家族のゆらぎ(高齢化・単身・夫婦のみ世帯)、子育てや介護の問題、都市化と地域力の低下、政策資源の枯渇(財政・職員・権力)、社会の変化(いじめ、不登校、自殺、ホームレス、ゴミ屋敷、空き家)などの今までになかった問題に直面します。そこに市民社会の力の台頭が起こり、NPO、ボランティア、公益法人が登場します。

 そして、「新しい公共」と「協働」の時代に入ります。政府だけが公共を担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯・防災、医療・福祉などに地域の住民が共助の精神で参加し、政府は支援するという考え方です。

 協働のまちづくりへの行政の課題として、執行から支援とコーディネイトをし、市民と地域での出会いの場づくりをすること、市民と話し合っても決まらない時には、時間切れに持ち込まず、引き続き議論すること(時間切れ行政の必勝に持ち込まないこと)、住民活動の主体性を尊重すること、発議は活動団体にあること、住民が「する」ものは住民へ(住民ができることは住民へではない)、行政の窓口は一本化し、数年ごとの人事のローテーションを再検討すること、施設設備の開放をすること、人材や情報(専門性)を提供することなどがあげられました。

 誰のためでもなく、自分たち市民とその子・孫の世代のために、できることを一緒にやる、それが自治政府と地域を運営していく市民責任だと辻山さんは仰います。 

私たちの活動はまさしくこの実践で、地域で自分にできることを仲間と一緒にしていこうという思いを強くしました。