市町村自治体の税金の使い方・使い道を学ぶ

2018年9月30日 23時48分 | カテゴリー: 活動報告

 9月20日、くらしを変える「21世紀の学校vision」講座―政治を変え市民社会を強くするための方策を学ぶ―が開催されました。  第一部は、埼玉大学人文社会科学研究科准教授 高端正幸さんの『自治体の税金の使い方を考えるために―「税金で皆が支え合う」地域社会を』と題した講演でした。

 所得の低下や生活不安が増大し、老後の生活に不安があるという人が8割を超えている現状。しかし、日本の生産年齢人口一人当たりの実質GDP成長率は欧米を上回る1.5%で「働ける人は、すでにこれ以上なく働いている」のだから、経済成長頼みの「自己責任社会」は持続しえないと仰います。誰もが人間らしく生きられる社会をいかに目指していくのか。            

 社会保障の給付は、現役世代向け給付が少なく「労働による自立」と「家族による自助」を強く前提においた福祉政策ですが、だからと言って年金・医療・介護が社会保障の8割を超す高齢者向け支出をどれだけ抑制できるというのか、全体の財源(=税負担)を増やすしかないと仰います。「稼いで貯蓄して自力で何とかする」自己責任主義から、「稼いで税金を皆でプールして互いに支え合う」社会にしていくことを提案されました。

 税による負担の分かち合いの強化から逃避してきた結果が、負担の不公平や「買わされる」医療・福祉サービスとなっている現状、不平等や貧困の現実に有効な策を打てない(打たない)社会に対して、「あきらめ」が拡がりつつあります。自己責任主義が租税抵抗と分断社会を生んでいます。自己責任主義に根差した社会保障政策と、私たち市民の強固な自己責任意識を変えていかなければ、社会も財政も破綻する、幅広い人々に受益感(現在・将来の生活が社会保障によって守られているという実感)を及ぼすような、社会保障の充実こそが喫緊の課題だとまとめられました。

 誰もが抱える生活上のリスク、そこから生まれる社会サービス(介護・障がい福祉・子育て・困窮者支援等)の担い手は自治体です。住民に近い存在の地方自治体は政府との接点であり、かつ地域社会の主体です。自治体が政府への信頼・住民相互の信頼を生み出す主体として機能するためには、サービスの受益感と社会参加・社会的包摂が必要です。

 私たちがどのような地域を創りたいのか、そのために何を優先させるのか、財源はどうするのか、自分の町の財政状況を知る必要があります。神奈川ネットではこれからも地域の課題の解決に向け、大勢の市民の方々と住みやすい地域を作るために提案していきます。 

 第2部は「神奈川県内の市町村の税金の使い道・使い方の比較をしてみよう」ということで「自治体の財政」について神奈川ネットで財政チームを作り、調べた結果を発表しました。

 県内の三つの政令市(横浜市、川崎市、相模原市)と藤沢市と大和市の財政状況、事業予算等を比較しました。373万人と人口の多い横浜市は会計規模もとても大きいのですが、借金も多く市民一人当たりの借金は108万円、川崎は99万円、相模原市は52万円、大和市は37万円、藤沢市は一番少なくて31万円でした。また、収入の内、自主財源の割合の高い川崎市と藤沢市は、国から地方交付税の交付を受けないで財政運営を行う不交付団体です。

 保育・子育て支援策では待機児童対策にどれだけ予算を充てているかを調べました。各自治体での取り組みも様々で、自治体によって待機児童対策の位置づけが違っているようで、待機児童対策費として挙げてもらった数字に含まれる物が同じではなく、単純に比較はできませんでした。内容をみると、横浜市は保育所1か所あたりの児童数が少ないことから、小規模保育が多いといった待機児童対策に取り組む市の姿勢が見えてきます。

 小学校給食では、アレルギー対策について全市にマニュアルはあるけれど横浜市は学校ごとの対応、また石けん使用についても横浜市は学校ごとの判断となっていることなど課題もみえてきました。食材についても、地場産野菜の使用率は自校献立の日だけの川崎市の0.18%(市内産)、県内産を含んだ横浜市が10.5%、相模原市が22.2%と目標値の30%にはまだまだ届きません。

 ごみの分別・収集方法・料金は各自治体でさまざまです。有料収集の藤沢市がごみの排出量が少ないとかというとそうとも言えず、資源化率も分別品目数が多い藤沢市、大和市がそれほど高いとも言えません。ごみは市民が出しやすいということだけではなく、ごみ処理費用を減らしごみをいかに出さないかという観点から考える必要がありそうです。

 議会費や議員報酬、政務活動費についても調べました。議員報酬は横浜市の月額95万3千円、川崎市83万円、大和市の43万9千円、政務活動費は横浜市55万円、川崎市45万円、大和市3万5千円と大きく違いました。議員一人当たりの人口をみると横浜市は一人の議員が43,392人の市民を背負っていました。これは三浦市の人口に匹敵します。大和市は議員一人当たり8,405人、川崎市は25,260人。議会は皆さんにとって身近でしょうか。

 参加者とともに自治体を様々な角度から比較して、「住みたいまち」を考え、税金の使い方について学ぶきっかけとしました。