東日本大震災の被災地を訪ねて―復興はまだまだこれから

2018年10月22日 23時07分 | カテゴリー: 活動報告

 2011年3月11日に起きた東日本大震災から7年が過ぎました。被災地の報道は年々少なくなっています。横浜みなとみらいでは、毎年11月に「東日本大震災・復興支援まつり」が開かれています。(今年は11月10日)この復興支援まつりの実行チームの一員として、被災地の現在の復興の状況や課題を確認するために、被災地の視察に行ってきました。  

 仙台から仙石線に乗って移動していると、耕作を放棄した水田が線路わきに見えてきます。水田は海水につかったため、塩害で稲作ができなくなりました。3年くらい前から、やっと米作りができるようになったそうです。また、太陽光発電のソーラーパネルが設置されている所が何か所も見られました。きれいな新しい家ばかりの地域を見ると、この辺り一帯は津波に襲われた所なのだと分かります。 

この風車の上部赤い線まで津波が来ました。

 東松山市では、無添加の練り物を作っている高橋徳治商店の新工場を見学させていただきました。元の工場は石巻漁港の近くにありましたが、10mもの津波や地盤沈下で3工場ともに全壊しました。社長の高橋英雄さんは、泥とがれきで埋もれた社屋で廃業を考えたそうです。しかし全国からたくさんのボランティアの支援を受けるうちに、つながりの中で生きていけることを実感し、事業再開を決意しました。新工場の屋上には、1,280枚のソーラーパネルを設置し、170kw/hの自家発電をし、工場で使う電気の半分をまかなっています。またこの工場が災害時には避難所になるように、市と災害支援協定を結びました。

 宮城県の若者(15歳~39歳)のニート、引きこもりはとても多くなっていると言います。大震災で心に傷を負い、社会に適応しにくくなった若者を今何とか支援しなければと、事業が震災前のまだ半分しか回復していない中、野菜加工工場をこの春新設し、石巻地域若者サポートステーションと協働し、1日5人の若者を受け入れています。訪問した時には、枝豆をさやから出す作業をしていました。毎日通うことが難しい状況から、ここで力をつけ契約社員になった方が出てきました。

 社長自ら「暮らし方を変え、考え方を変え、生き方を変えよう。自ら被災地の力になり、笑顔になって、光になります。」と、復興に向け力強く取組んでいます。 

退去の日を過ぎてもまだ引っ越せない方もいる仮設住宅

 石巻市では、応急仮設住宅の入居期限一律延長がこの9月で終わり、復興住宅への転居が進んできています。しかし転居先で家賃が発生することで、今まで以上に経済的な課題が見えてきました。引越し先でのコミュニティ作りがうまくいかなかったり、日常生活に戻っている人とそうでない人との格差が生じ、弱みを吐き出せず、孤立していく被災者の増加が危惧されています。復興住宅入居者のうち、生産人口の24%が無職との調査結果が出ています。お話を伺った「公益財団法人共生地域創造財団」では課題が疑われる世帯には何度も戸別訪問して、信頼関係を築いたうえで食糧支援、生活用品貸与、貸付など生活の課題全般への包括的な支援をし、その上で様々な関係機関との協力により就労支援をし生活の安定を図っています。 

 たくさんの尊い命が失われた石巻市立大川小学校では、娘さんを亡くされた大川伝承の会の方にお話を伺いました。震災前は学校の周りに150世帯があったというその場所には何もなく、大きく破壊された学校だけが残っています。津波の前の写真と現在の様子のあまりの違いに言葉も出ませんでした。ここに逃げていれば助かったのにという裏山にも案内してもらいました。胸がふさがる思いです。「災害は必ず起きる。考えておかなければならない。津波は逃げるしかない。」と悲しみを抑えて話してくださいました。 

 女川では漁港はかさ上げ工事の最中で、道路もまだまだ至る所が工事中でした。ここでは、「一般社団法人コミュニティスペースうみねこ」の活動を伺いました。震災後の避難所の乳幼児の子守りの活動から始まり、お母さんたちの元気を作るため、布草履やコースターを手作りしたり、ランチを提供したり、お父さんたちの元気を作るために唐辛子、イチジクなどを育てて収穫したりと、必要な時に必要なことをして、地域に居場所を作り、生きがいを作り、雇用を生む事業を作っています。この日は、唐辛子とイチジクの葉(乾燥してお茶にします)の摘み取りを手伝わせていただきました。 

 テレビや新聞などの報道で被災地のことは知っていたつもりでした。でも実際に行ってみて、津波にさらわれてしまった土地や、ここまで津波が到達したという表示を見て、改めて津波の威力に驚きました。そして7年が過ぎた今でも復興はまだまだこれから、心の支援ももっと必要だと感じました。私たちは被災地のことを忘れることなく、被災地とつながりを持ち、復興を支えていきたいと思います。東北に旅行に出かけてみるのもその一つです。

 今年は大阪北部地震、北海道胆振東部地震、西日本豪雨災害と災害が相次ぎました。自然の災害の前に私たちは無力です。自戒を込めて、災害に備えて準備しておく必要があります。