差別のない社会に~国立市の「人権・平和基本条例」制定から学ぶ

 「多文化共生・自治体政策研究会フィールドワーク」に参加し、国立市役所で実際に「国立市人権を尊重し多様性を認め合う平和なまちづくり基本条例」制定にかかわった市職員と議員から話を伺いました。

 国立市では全ての人を社会的孤立や排除から守り、社会の一員として包み支えあうこと(ソーシャル・インクルージョン)を基本としたまちづくりを進めてきました。その原動力になったのは、市民運動と差別を受けている当事者が直接上げた声でした。「しょうがいしゃがあたりまえに暮らすまち宣言」(障がいのある人が自ら「しょうがいしゃ」の表記を決めました)が作られ、ヘイトスピーチ禁止を求める全国初の意見書を市議会で採択、「国立市女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例」など、人権施策を進めてきました。

 病に倒れた前市長の全国平和首長会での「平和・人権は普遍的な人類のテーマ、私は挑戦し続ける」という宣言、後継の現市長の「人権と平和を結んだ基本条例を作りたい」という強い意見表明があり、制定に向けて動きだしました。「基本条例骨子案」には市民意見交換会とパブリックコメントで多くの意見が寄せられ、この理念条例では差別はなくならない、もっと実効性のある条例にしたいと内容が充実していきました。差別の当事者の要望を入れた「基本条例素案」を作り、市長自らが4回のタウンミーティングに出向くなど、市と市民が繰り返し話し合い、予定より1年多く時間をかけて条例制定に至りました。

 今年4月1日から施行されたこの条例は、実効性を担保する審議会委員の選任段階で、差別や偏見に立ち向かえる専門家や弁護士と差別の当事者、市民公募委員を選びしっかり意見のいえる環境を作っています。具体的な動きはこれからということでした。

 川崎市でも「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例骨子案」が出され、検討が進んでいます。理念では差別はなくなりません。国立市の事例に学び、人権を尊重し差別を根絶する条例の制定に向けて、市民の声を届け、作り上げていきます。