市民が作る社会的金融―女性・市民コミュニティバンクの活動を学び考える

2019年7月31日 18時50分 | カテゴリー: 活動報告

 7月30日、女性・市民コミュニティバンク理事長の向田映子さんにお話を伺いました。

 女性・市民コミュニティバンクは、市民が出資した意志あるお金を、NPOやワーカーズ・コレクティブなどに融資をしています。その背景には、女性たちの市民事業(ワーカーズ・コレクティブ)の資金調達の苦労がありました。金融機関は、市民事業に無理解で、女性には融資をしてくれず、担保も要求されました。そこで、非営利・共同・小規模の金融機関を作るということで信用組合設立に動きましたが、折衝がなかなか進まず、デフレも進行したことから、貸金業による融資に重点を置き、NPOバンクとして、女性・市民コミュニティバンクを1998年1月に設立しました。

 私たちが預けている預金や貯金は、巡り巡って米国債を購入、戦費調達資金になっていたり、応援していない企業に融資されたり、軍需産業へ投資・融資されていることを知りました。預けるだけ預けて、その先を考えていなかったという話に責任を感じました。

 融資先は、高齢者のデイサービスや、グループホーム、障がい児放課後等デイサービス、障がい者就労支援B型事業、障がい者就労支援コミュニティキッチン、リユース・リサイクルショップ、保育園、病児・病後児保育などの立ち上げ資金や運転資金、食事サービス配達車や、学童保育送迎車の購入資金などです。個人ではシングルマザーが資格取得するための教育資金などにも融資されています。

 昨年からは福祉や街づくりの事業で、投資期間の長くないファンドに投資もしているそうです。一般社団法人生活サポート基金の「生活困窮者等の生活再生の少額融資の原資ファンド」に1,000万円、同基金の『新たな「サポート型・リースバック事業」』(自宅はあるものの生活に困窮する方に対し、生活サポート基金が相談者の自宅を買い取り、買い取った住宅をその相談者に貸し、相談者がそのまま住み続けられるようにする事業)に1,000万円投資しています。

 課題は、理念が違うサラ金と市民金融(NPOバンク)が同じ貸金業法で融資を行っていること。多重債務問題や高金利・簡単・過剰な貸し付け、過酷な取り立てなどから貸金業への規制強化があり、NPOバンクの設立や継続が困難になっています。日本では市民事業やNPOバンクが社会に果たしている機能の評価が低く、市民金融を支援する法律はまだなく、非営利バンク法が必要だと話されました。また融資事業による低金利の利息だけでは運営費は賄えず、赤字部分を寄付金、サポート会費等で補填していること、1,000万円以上の融資申込みへの対応(現在は1,000万円が上限)、神奈川県以外の近県の市民事業団体からの融資の相談への対応(現在は神奈川県内のみ)等が課題としてあげられました。

 女性・市民コミュニティバンクは、現在全国に18あるNPOバンクのさきがけとなり、市民事業の立ち上げ、拡大・再生産を支援し大きな成果を上げてきました。「金銭的リターン」がなくても「社会的リターン」に意義を見出す人々(出資者)の意志あるお金が、つながりのある街づくりを進めてきたといえます。必要ならば、自分たちで事業を起こしていく市民の力が、地域で必要とされているサービスを生み出し、豊かな地域福祉を作り出してきたのです。これからも地域の生活の課題を共に考え、だれもが暮らしやすい社会に向けて、市民とともに活動し提案していきます。