5Gは果たして安全か?

7月28日、NPO法人市民科学研究室の上田昌文さんの「5G(第5世代移動通信システム)とは~新たな電磁波リスクへの取り組み方~」という学習会に参加しました。5Gとは、「5th Generation」の略称で、携帯電話などに用いられる次世代通信規格の5代目という意味です。日本ではこの春から限られた一部の地域で、商用サービスがスタートしました。

5Gの大きな特徴としては、超高速・多数同時接続・超低遅延があげられます。今までの4Gの10倍の速度で、2時間の映画を3秒でダウンロードでき、4Gの30~40倍の台数を同時に接続できることから、家電やセンサーなど身の回りのあらゆる機器がネットに接続できます。タイムラグが1ミリ秒、4Gの10分の1になり、自動運転の精度が上がり、建設機械やロボットの遠隔操作が可能になります。

こう聞くといいことばかりのようですが、すでに今までの4Gの携帯電話で使われている高周波電磁波にもリスクがあることを挙げられました。まず現行の高周波電磁波の総務省の電波防護指針の規制が緩やかなこと(マイクロ波による加熱作用のみを認めていて非熱作用については考慮していない)、特に近接曝露(耳につけて通話している時)については無視できない疫学データがあり、携帯電話使用に関する何らかの規制や対策(特に幼児や子ども)を設けている国もある中、日本は完全に無策であること。また近接曝露以外の「微弱長期恒常的」曝露でも、疾病との相関が未解明であり、電磁波過敏症などを訴える人が増加傾向にあると考えられること。活性酸素の増大と血流変化が主因となった神経系・免疫系に及ぶ疾病・症状を引き起こすメカニズムが未解明であること。しかし、「黒(因果関係がある)とは確かに言えないものは白とみなす」の論理で電波利用は拡大の一途だと言います。

さらに、5Gの特性から見たリスクが挙げられました。前提として、実証実験段階もしくはそれ以前のものが多く、機器と設置の具体的データが少なく、電波の放射に関するデータが知りえず、曝露状況を推測できないものが多く、継続して調査する必要があるとのことでした。高い周波数の電波が持つ特性として、直進性が大きくなり、電波の浸透性は浅くなることから、体表面において短時間で温度が上昇すること。皮膚の汗腺での電波吸収率が上がるなど影響が未解明なこと。電波が届きにくいことから100m間隔とも言われる多くのスモールセル基地局(小型基地局)を作ることになり曝露の水準が上がること、5Gシステムでは、携帯電話1台ずつに向けて電波を飛ばしたり(ビームフォーミング)、端末がどこにあるのか探したり(ビームスイーピング)、端末が移動するのを追いかける(ビームトラッキング)ことから、今までにない曝露のパターンが考えられることなど、かつてない強さの電波にさらされて暮らすことから曝露の水準が1桁から2桁上がり、電磁波過敏症が悪化したり、過敏症の患者が増加する懸念があることが指摘されました。 

  世界の動きとしては、携帯電話使用と脳腫瘍の関係の疫学調査をしてきた35ヶ国180人以上の科学者・医師が5Gの普及の一時停止を欧州委員会に提言しています。ベルギー・ブリュッセルでは5G計画を中止、米カリフォルニア州のベイエリアの3自治体は、住居地区における5G基地局設置禁止を決定、米カリフォルニア州知事が5G基地局を設置しやすくするための地方自治体における認可プロセスを縮小する法案を拒否しました。フランス、スイス、ナイジェリアなどでは国全体が5Gの安全性について国民的な議論をしており安全性の問題を研究するための大規模な調査を開始しています。

しかし日本では、東京都が、オリンピック会場や政策誘導が比較的可能な西新宿都庁近辺、東京都立大学に重点エリアを設定し、5G基地局を整備しようとしています。都の保有する建物(東京ビッグサイトや国際フォーラム)、橋梁、道路、バス停、公園、信号機、地下鉄、地下街などへの基地局設置を強力に後押ししています。

そのような中でも、東村山市の住民が基地局設置に反対し、署名活動をして、電話会社が設置を断念した例もあります。

携帯の基地局は全国に約90万基あり、内4Gが57万基です。これにさらに5Gの基地局が増えていくのです。基地局の所在や電波の詳細は非公開で設置に住民の合意が不在のままです。子どもや病弱な人に対しての配慮も必要です。

コロナ禍の中、学びの機会の保証をするためGIGAスクール構想を前倒しして、学校では一人1台のタブレットやパソコンを今年度中に配備する予定です。もちろん今はまだ4Gですが、電磁波に過敏なお子さんを持つ方からは校内のWi-Fi環境が心配、必要な時だけONにするなどの対策をとってほしいという声が上がっています。

基地局への対応は自治体によって、まちまちです。知らない間に設置されていたということのないように、特に保育園・幼稚園・学校など子どもが育つ環境や病院が5Gの高周波電磁波にさらされることがないように、情報を得て予防原則の立場から健康被害が疑われるものにはNOの声を上げていきます。