子どもの放課後を考えるー子どもの豊かな育ちを

子どもの居場所と権利プロジェクトでは、日本総合研究所、上席主任研究員の池本美香さんを講師に招き「子どもの放課後を考える」学習会をオンラインで開催しました。池本さんは厚労省の社会保障審議会「放課後児童対策に関する専門委員会」の委員でもあり、子どもの保護者として学童保育を利用された立場からも話をされました。

保育所の制度から遅れること50年、1997年に放課後児童健全育成事業が始まりました。保育所にある最低基準もない状態で、2007年にやっとガイドラインができました。1989年に子どもの権利条約が採択され、諸外国は子どものための放課後の事業として、子どもを中心にして整備しました。しかし日本は、2014年に成長戦略の女性活躍支援として、「小1の壁」打破のために子どもを預ける場として学童保育を考えてきました。その年の放課後子ども総合プランでは2019年までに90万人から120万人に受け皿を増やす方針を掲げました。2015年には子ども・子育て支援新制度により対象が小3までから小6までとなりました。

日本では量的拡大の議論が中心で、質の検討が不十分で、親が働くことが優先されていて、学童保育の長時間化は子どもにとっては負担になると話されました。2019年の新・放課後子ども総合プランでは、2023年までにさらに30万人受け皿を増やすこととしています。財源の制約があり、児童館や児童公園はなくなり、学校施設の活用促進が掲げられ、全児童対象となった所では大規模化や、学校との連携の難しさ、閉鎖的・指導的といった課題があげられました。学童保育は子どもにとって居心地の良い場所になっているのかと考えた時、子どもが置き去りにされている現状が見えてきました。長時間労働を前提とした親のニーズに対応した学童保育でよいのか、考えるべき時にきています。

諸外国では、犯罪歴のチェック義務、労働時間や保育時間の適正化、学童保育の指針や質の評価制度など、子どもの権利を守るための制度設計がなされています。ノルウェー、フィンランド、スウェ―デン、フランス、ドイツなど子どもの権利条約が重視されている事例を挙げられました。各国には子どもオンブズマンが設置されていますが、日本にはありません。政策全般に子ども目線が増えていかない、子どものことを考えていないと指摘されました。

コロナ禍で、子どもの心の問題が浮かび上がっています。学習の遅れを取り戻すことを最優先にした教育、親の不安や貧困により、暴力、いじめ、不登校などが増えてきています。どうしたら子どもの豊かな育ちを保証できるか、放課後の単なる預け先ではない、子どもの権利を踏まえた子どもの居場所としての学童保育の在り方を考え提案していきます。