非正規シングル女性の現状とこれからーコロナ禍での非正規問題を考える

「非正規シングル女性の現状とこれから-コロナ禍での非正規問題を考える」という講座に参加しました。パネラーは東京都立大学大学院在籍の菊池悦子さん、日本女子大学准教授(社会福祉学)岩永理恵さん。

新型コロナウイルスの影響で職を失った人は、全国で6万3千人を超えたことが厚労省の調査で分かりました。中でも、非正規が雇用の調整弁としてしわ寄せを受けているのが現状です。2020年8月の非正規雇用率は労働者全体の36.9%、女性は53.9%、男性は22.2%です。非正規雇用が多い女性に大きな影響が出ています。

菊池さんは、就職氷河期に高校卒業後、スーパーやデパートなどで非正規の販売員として働き、何度も転職を経験してきました。職業的キャリアを持たず、母でも妻でもなく親元で暮らし、経済的に自立できない自分を恥ずかしく感じ、自分の「家族」を持たないことで、社会的な孤立を感じていて、そこから何かを変えたいと大学入学を果たしました。大学3年生の時に、自分自身の大学入学までの経緯や、ノンエリート(非大卒)、シングル、非正規現職の女性の抱える問題について書いたレポートで、日本女性学習財団第1回未来大賞を受賞。これまで女性の雇用支援の施策としては、「待機児童の解消」や「子育て女性の再就職支援」「女性管理職の登用」などが主で、非正規シングル女性の状況は見えづらく、支援の対象として光が当たっていないと言います。家事や育児の負担がないのに、非正規シングル女性が安定した職に就けない(輝けない)のは、自己責任なのかと問われました。そこには、「稼ぎ主である男性+家庭を守る女性」という社会にある意識・観念が非正規シングル女性の困難を生み出し、また問題を見えにくくさせ、支援からこぼれ落ちる原因となっているのではないかと話されました。また男性労働者が家族を扶養することを前提にした賃金体系で、女性への賃金格差がシングル女性の貧困の原因になっているとされました。

コロナの影響で解雇、雇止めが多いのは製造業、宿泊業、飲食業、小売業、労働者派遣業などで、この業種に占める女性非正規労働者の割合は高いのが現状です。女性が失業しても夫という安全ネットがあるからさほど問題はないと思われているが、実際は異なります。

非正規シングル女性への支援を拡充すること、ワークライフバランスを推進し、男女ともに家事・育児・介護を負担すること、性別役割分業意識を是正すること、男女間の賃金格差を解消することが求められていると話されました。

岩永さんは、そもそも、日本における女性の「貧困」は残念ながら明らかにされていないと言います。「貧困の女性化」という言葉がありますが、これは、貧困世帯の中で、女性が世帯主である世帯の割合が多数を占めることを言い、アメリカや先進国で見られる現象ですが、日本はそれが見られない例外的な国だと言われています。日本の女性は貧困の女性化を達成するほど自立していない、離婚や経済的自立には手が届かない、つまり女性が家を出て独立した世帯を営むための社会的条件すら整っていないとされました。女性が経済的に自立する環境こそが必要だけれども、他方で現状の女性の生きづらさは、経済的な概念では捉えきれないともされました。

日本は女性の自己評価が低い、頑張ったことが評価される、希望が持てる社会にしていく必要があると話されました。

コロナ禍で、職を失えば簡単に貧困に陥ります。これは、誰にでも起きる可能性があります。自己責任として突き放すのではなく、社会で支えていく必要があります。