ヤングケアラーの支援を考える

「介護を巡るヤングケアラーの問題解決に向けて」という学習会に参加しました。コーディネーターはいきいき福祉会の小川泰子さん、講師は藤沢市議の武村雅夫さん。県議会の動きを神奈川県議の敷田博昭さん、市川和弘さんから伺いました。

小川さんは、Withコロナの時代、家族ケアの現場は一層深刻になっている。主たる介護者にすべて抱え込ませていることが問題で、助ける、助けてと言える社会にしていく必要がある。その解決に向けて何をするか、市民の意識に「自分ごととしてとらえる」ことが重要だと話されました。

介護保険制度が始まったころの、介護の担い手は専業主婦でした。しかし今や介護者の過半数は働きながらの介護です。また、年間10万もの人が介護離職を余儀なくされています。介護といえば、中高年以降の課題と思いがちですが、少子化や晩婚化で子育てと介護のダブルケアを経験している人は3割にも上ります。そうした中、忙しい親に代わって介護や家事、障害のある兄弟の世話などをする「ヤングケアラー」の問題を取り上げてこられたのが、元中学校の教師で藤沢市議の竹村さんです。2016年に竹村さんが行った藤沢市の市立小中学校の教員を対象にした聞き取り調査では、約半数がこれまでに家族のケアをしているのではと感じた子どもがいたと答えています。2018年~2019年にかけての埼玉県の高校生の調査では20人に一人がヤングケアラーという結果も出ています。

心の病を抱えた親のために学校を休まざるをえなかったり、日本語が分からない親のために通訳として病院に付き添ったり、親に代わって兄弟の面倒を見たり家事をしたり、祖父母の介護をしたりと、子どもが本来受けられる教育を受けることが困難になっている様子が見て取れます。介護やケアをしている人が、その人らしい人生を送れる支援が何より必要だと話されました。

今年3月埼玉県では全国初の「ケアラー支援条例」が制定されました。ケアラーとは、高齢や身体上・精神上の障害、疾病等により、援助が必要な親族・友人・身近な人に対して無償で援助を提供する人のことで、特に18歳未満のケアラーをヤングケアラーと定義しています。基本理念として、ケアラーへの支援は、ケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営めるように、また、ヤングケアラーの支援は、社会において自立的に生きる基礎を培い、人間として基本的な資質を養う重要な時期であることに鑑み、適切な教育機会の確保や心身の健やかな成長・発達と自立が図られるように行うことを明記しています。

子どもや若者は、自分がヤングケアラーだと気づいていないということもあります。自分の家庭しか知らないと、自分がしていることが当たり前と考えることもあります。

厚生労働省は、12月にもヤングケアラーの初の実態調査を始めることにしました。自治体や教育委員会などを通じ、ヤングケアラーの人数や介護の内容を調べるとのことです。

子どもたちが学校を休まざるを得ず、学ぶことができなかったり、同世代との交流ができなかったり、進学や就職をあきらめたりすることがないように、子どもの育ちの支援を考えていく必要があります。神奈川県議会では、10月3日、国に対して「新型コロナウイルス感染症に係るケアラー(家族介護者等)と要介護者等への緊急支援対策を求める意見書」を全会一致で可決しました。そこには、社会からの孤立が懸念されるヤングケアラーには特別な配慮と措置を講ずることを挙げています。

子育ても介護も社会全体で支えていくことが必要です。介護やケアする側も、自分らしい人生が送れるように、支援を考えていかねばなりません。生活者として解決すべきこの問題に、超党派で取り組んでいく必要があります。