種苗法改正とこれからの食と農

1月12日、川崎生活クラブ生活協同組合と神奈川ネットワーク運動・川崎ブロック協議会が主催する、「種苗法改正とこれからの食と農」という学習会に参加しました。講師は元農林水産大臣で「日本の種子(たね)を守る会」を立ち上げた山田正彦さん。宮前区で農業を営んでいる吉岡照充さんにも生産者の立場からお話を伺いました。

日本がTPP協定を批准したことから、政府はその協定に沿って自由化の方向に国内法の整備を進めています。日本の食を支えてきた米、麦、大豆、これらの「主要農産物」を安定供給するために、各地に適した優良な種子の生産・普及を担ってきた種子法が2018年4月に廃止されました。昨年3月には多国籍企業の狙いである自家採取禁止のための種苗法の一部改正が国会に上程されました。継続審議となっていましたが、新型コロナ感染禍の中、11月19日に衆議院本会議で、12月2日に参議院本会議で可決されました。

種苗法の改正が私たちの暮らしにどのような影響をもたらすのか、また地方自治体でできることは何かを伺いました。

日本は、国連総会の決議などを基に「種子の自家採取は農民の権利である」としていましたが、今回の改定では育成権利者の利益を大幅に優先させたものになりました。農家は登録品種でもこれまで自家採取、増殖が自由にできていましたが、2022年4月からは代価を払って許可をもらうか、すべての種苗を買わなければならなくなり、違反すると罰金に処せられます。農水省は、登録品種は10%にも満たないので農家にほとんど影響はないとしていますが、農家へのアンケートでは52.2%もの登録品種を栽培しており、コメも実際には40%以上が登録品種だということです。自家増殖を一律禁止している国は、日本とイスラエルだけです。

私たち消費者にとって大切なのは、安全な食材が持続、安定して提供されることです。しかし、改定種苗法では、在来種の固定種から、F1の品種となり、次にゲノム編集の種子、そして遺伝子組み換えの種子になっていくと思われるということでした。日本では、「ゲノム編集は遺伝子組み換えではないから安全」だとして、任意の届出だけで表示なしでの流通を決定しています。また食品安全委員会は「遺伝子組み換え食品は安全」としたことから、2023年から遺伝子組み換え食品の表示も事実上なくなります。

アメリカは国民の反対でTPPを離脱したのに、日本は、国民の食の安全、食糧自給率、環境保全よりもアメリカの言いなりに多国籍企業、大企業の利益を優先したのです。

そこで私たちにこれからできることとして、地方自治体で条例を作り、地方から改定種苗法に対して種苗を守る手段があると話されました。条例で厳しい条件を付けて事実上都道府県が開発した優良な品種の育成者権利を守り、農家には自由に自家増殖(採種)ができるようにして、ただ種苗として譲渡することを禁止すればよいとのことでした。日本とアメリカを除いては世界各国で遺伝子組み換えとして禁止規制をしているゲノム編集の種子、遺伝子組み換えの種子の作付けにも条例で条件を付ければ、作付けを禁止できることなどを挙げられました。

吉岡さんからは、食糧自給率の低さや農家を支援する予算の少なさ、種は皆のものなのに種を売ってお金儲けすることへの疑問などが示されました。

地域から私たちの食の安全と農業を守っていくことが必要です。子どもたちに安全な食やよりよい環境を残していくために、これからも取り組んでいきます。