外国につながる子どもの学ぶ権利を保障する

7月2日、NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)事務局長の高橋清樹さんによるオンライン学習会「外国につながる子どもの教育保障」に参加しました。

日本で暮らす外国人は2019年末で293万人と過去最高を記録しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年6月には約47,000人減の288万人になりました。ワクチン接種が進んできたことから、今後、家族の呼び寄せも増えていくことが予想されます。外国につながる子どもの教育についてこれまでの課題を確認し、子どもの育ちをどのように支えていくか考える必要があります。

就学状況の把握と体系的な支援を

外国につながる子どもは外国籍だけではなく、両親のどちらかがが日本人のため日本国籍でありながら日本語支援が必要な場合があります。日本語指導を必要とする児童生徒は2018年に5万人(外国籍4万人、日本国籍1万人)を超え、母語の多様化も進んでいます。文部科学省が初めて実施した「外国人の子どもの就学状況等調査」(2019年5月1日時点)では学齢相当の子どもの数は123,830人、そのうち約2万人が不就学か、就学状況が把握できていない状況にあることが明らかになり、神奈川県内でも約4,000人が在籍不明となっています。しかし自治体での調査の動きは鈍く、子どもの置かれている状況が分からないことは深刻な課題です。外国籍の子どもは、教育を受ける権利はありますが、就学の機会の保障がされていないという制度上の問題があります。対応は自治体によって様々で、岐阜県可児市では行政窓口で積極的に就学の説明をして学校に来ることを促しています。実態調査と積極的な対応が急務です。

外国につながる子どもの生活背景は様々で、学校だけでは教育支援が十分ではなく、地域との連携がとても大事です。また子どもたちのアイデンティティ確立のために、母語や母文化を尊重して支援していくことも重要です。国は、2020年3月の「外国人児童生徒の教育の充実について」の報告で、すべての外国につながる児童の就学を目標に就学前段階、高等学校段階、卒業後も見据えた体系的な指導・支援、キャリア教育や相談支援など包括的に提供する必要があることを示しました。しかし神奈川県や、県内自治体では積極的な取り組みを行っていません。県では来年から、高校の在県外国人等特別募集枠を来日6年以内と緩和し、受け入れ高校を3校増やすことにしましたが、募集枠を超える応募があることも予想されます。

さまざまな課題

外国につながる子どもへの日本語や母語の支援はもちろんのこと、保護者とのコミュニケーション、文化や教育制度の違いの理解、障がいの可能性のある子どもへの対応、高校進学、高校中退、学齢超過、「家族滞在」という在留資格の生徒への対応など様々な課題があります。例えば、出身国で中学を卒業せずに来日し、夜間中学に入学した場合、学習の進捗状況にかかわらず、中1に編入しなければならないなどの課題があり、卒業後に高校への進学を希望しても成人年齢に達していると保護者に働くよう促されることもあり、進学の機会が失われている現状があります。川崎市ふれあい館での聞き取りでは、新型コロナ感染症の拡大で、学習サポートの教室に通う回数が減ったり、幼い兄弟の面倒を見るために教室を休んだり(ヤングケアラー)、保護者の収入減により進学が厳しくなるなどの課題も見えています。一人ひとりに寄り添った支援が必要です。

共に生きるために

外国につながる子どもが、日本で社会の一員として暮らしていくためには、地域で家庭を支え、共に生きる地域づくりを進めていく必要があります。多文化の子どもはグローバル人材として活躍できる可能性を持っています。まずは各自治体で実態を調査し、困った時に身近に相談できる場所を増やしていくことが必要です。様々な相談に対応できるように、一元的に引き受ける部署を作っていくなど、支援の現場の声を生かした制度を地域から提案していきます。