住み慣れた地域で暮らすー最期まで自分らしく生きるー

川崎3ユニット共育フォーラムの「支えあい住み慣れた地域で暮らす―最期まで自分らしく生きる―」と題したオンライン講座に参加しました。講師は「おひとりさまの老後」(2007年)、最近の「在宅ひとり死のススメ」の著者で社会学者の上野千鶴子さん。

独居高齢者「おひとりさま」は増えており、かわいそう、寂しいでしょうといった偏見も亡くなってきています。独居高齢者の生活満足度は同居者がいる人より高いという調査もあります。悩みが少ないため満足度が高いのではということです。老後の満足のための3条件は、①生活環境を変えない(慣れ親しんだ土地を離れない)②真に信頼のおける友を持つ(たくさんは要らない③家族に気を使わずに済む自由な暮らしということでおひとりさまに行きつくのです。1976年ころから、病院で死ぬことが在宅で死ぬより多くなり、今や死ぬのは病院が当たり前になってきています。しかし2015年医療・介護一括法施行により病床数は増やさず、入院日数は抑制する、療養型病床は廃止するという医療と介護の一体運用=地域包括ケアシステムにより、在宅医療&在宅見取りへの政策誘導が行われています。

できれば家にいたいというのは年寄りの願いです。在宅で一人で死ぬことが介護保険の20年の成果で、できるようになってきています。現場の経験値が上がっていることで可能になったのです。上野さんは在宅ひとり死の3条件として①自己決定②司令塔(キーパーソン)③システム(多職種連携)(24時間対応の巡回訪問看護・24時間対応の訪問医療・24時間対応の訪問看護)をあげられました。そして死ぬのに医者はいらない、死後に死亡診断書を書くだけだと話されました。在宅ひとり死にはお金はたいしてかからない。介護保険と医療保険を使い後は自己負担ということで30万から300万円程度だそうです。在宅でターミナルケアも地域差はあるが、がんでも認知症でも可能だと話されました。臨終に立会人はいなくてもいい、看取り立ち合いコンプレックスは遺された側のものだと。日ごろから感謝の気持ちは伝えればいいのよという言葉に納得しました。

認知症になったら一人では暮らせないとして、病院に入れ(精神病院への囲い込み)、拘束・施錠や投薬による抑制は私たちにとっては幸せなのでしょうか。一人暮らしの認知症の人は家族と暮らすよりストレスが少ないのだそうです。介護保険だけでは支えられないけれど、二つの地域力があれば可能だと。それは、伝統的資源(ご近所・自治会・婦人会など)と新しい資源として選択縁(NPO・志縁・趣味縁・女縁)ということでした。

介護がなければ家では暮らせません。しかし、介護保険は介護度の軽い人を保険の対象から外そうとし、生活援助を外し、ケアプランの有料化も検討課題に挙がっています。自己負担は上がり利用抑制の方向に進めようとしています。介護の社会化が後退して家族の介護に戻ることが危惧されます。介護の商品化が進み介護保険との混合利用も進められる状況です。コロナ禍でケアワークの現場は疲弊しています。感染リスクに無防備な上に低賃金、待機や移動のコストがなく介護報酬は低く設定されています。政府は人手不足対策として無資格ヘルパーを採用してよいとしました。これは介護は(女なら)誰でもできる非熟練労働とみなしているからだと話されました。介護の仕事を適正に評価した報酬にしていく必要があります。

介護の社会化が後退しないよう、住み慣れた地域で自分らしく暮らしていけるよう、これからも活動していきます。