再生可能エネルギー100%利用は可能

「再生可能エネルギー100%利用の可能性を探る」と題したオンライン学習会に参加しました。講師は電力小売会社㈱グリーンピープルズパワーの竹村英明さん。

近年の集中豪雨、大型台風の直撃、猛暑、森林火災など地球温暖化の影響は深刻です。2050年カーボンニュートラルは世界全体の目標です。これまでに多くの温室効果ガスを出してきた先進国の責任はより重いと言えます。パリ協定で国際的に合意された1.5℃目標を達成するには、日本は2030年までに少なくとも「120%削減」を達成しなければならないと、国際環境シンクタンクのクライメイト・アクション・トラッカーは言っています。

日本のエネルギー政策

2030年度の発電電力量・電源構成は以下の通り(第6次エネルギー基本計画 2021策定)

発電電力量(億kWh) 電源構成
石油等 約200程度 約2%程度
石炭 約1,800程度 約19%程度
LNG 約1,900程度 約20%程度
原子力 約1,900~2,000程度 約20~22%程度
再エネ 約3,300~3,500程度 約36%~38%程度
水素・アンモニア 約90程度 約1%程度
合計 約9,300~9,400程度 100%

 

再エネの内訳:太陽光1410億kWh(15%) 風力564kWh(6%) 地熱94kWh(1%)

水力940kWh(10%) バイオマス470kWh(5%)

 

日本の再エネの現状は2019年には20.8%となりましたが、そのうち7.9%はダム水力で、実質再エネは12.9%で、実質再エネの1/3しかありません。化石燃料が74.9%を占めています。原子力は4.3%です。

 

日本の再エネポテンシャルは高い

2018年度の電力需要は1兆1,706億kWhでしたが、再エネの導入可能量は太陽光と風力でその6倍以上あり、環境に配慮したり、経済的に成り立つかということを考えても、約2倍(2兆5,164億kWh)の導入可能量があるとされました。現状から私たちが2割の省エネに努めるとして必要な導入量は8,199億kWh、自然変動を考慮してこの1.5倍が必要で、十分可能だと話されました。また太陽光と風力の他に、中小水力、地熱も利用できます。

再エネとして巨大メガソーラーや巨大ウインドファーム、大規模ダム水力、輸入バイオマスなど環境を無視したものについては反対です。巨大メガソーラーよりソーラーシェアリング、市民風車、小水力発電、輸入材に頼らない地域一体型のバイオマス発電が望まれます。

 

再エネ普及を阻んでいるものは?

①送電系統への接続制限

供給安定のためという理由で、原発や石炭・石油を残すと送電線の優先権を持つ老朽発電所が温存され、再エネの新規発電所は系統に接続できません。原発や石炭の優先権が再エネを止めています。

②FIT制度の事実上の終了

固定価格買い取り制度とも呼ばれ、再エネの電気を高く買うのは、再エネを早く普及させて「設置コスト」を安くすることが目的でした。しかし、日本はそうなっていないのに早くも終わらせようとしています。

③水素やアンモニア(あるいは炭素貯留CCUS)への誘導

電気を使って作られる二次エネルギーは電気の価格がプラスαとなり高くなります。アンモニアは天然ガスを改質して作りますが、ウクライナ侵攻後、価格が高騰しています。経済的に成り立たちません。またCCUSなどの新技術の導入に過度の期待を持つのは危険です。

 

電気の市場で起きていること

電気の市場では、旧一電が8割の電源を保有したままの自由化なので、市場支配力を持っており、売り入札を減らせば「売り切れ」が発生して市場価格が高騰します。ブロック入札というイレギュラーな入札により大量の電気を売れ残らせていることで最低価格が上がります。また、石炭や原子力にお金を流す容量市場も問題です。非化石証書にも問題があり、証書をつけると石炭も再エネになるというから驚きです。

 

再エネ地域ネットワークと地域再生

電気は「発電所+送電網+小売事業」で構成されています。発電所があっても、必ずしもその地域で電気を使えません。地域自給率200%なのに、電気は100%東電から買っているということもざらだと言います。

地域住民による地域住民のための電気が必要です。市民資金で作る再生可能エネルギーによる地域ネットワークを整備し、蓄電池を活用して送配電網が停電しても停電しないエリアを作るのです。そうすれば災害時でも地域でエネルギーは自立できます。

川崎市でも、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの普及拡大を図るために、地域エネルギーの基盤を担う「地域エネルギー会社」の2023年度設立を目指しています。市内には再エネの利用拡大に取り組んでいる市民が増えています。地域新電力の設立には市民の参画を進めていくことが必要です。