公文書は市民のもの

 

 

西国分寺駅近くの東京都公文書館に行ってきました。東京都公文書館は、1968年に竹芝庁舎(港区海岸1丁目)に設置されました。戦時中の文書疎開から復帰した貴重な歴史的史料群の保存と目録整備にあたり、史料編さん事業を行っていた都政史料館に、都の永久保存文書を引き継ぐという文書課の機能を合わせて設置されたとのことです。しかし年月の経過による施設の老朽化、狭隘化により、旧都立玉川高校への仮移転を経て、この新館は2020年にオープンしました。都有施設で初めてのZEB(Zero Energy Building)を導入しているとても立派な施設です。入ってすぐの常設展示室には、江戸から東京に至る変遷が壁面グラフィックで紹介され、展示ケースには関連資料も展示されています。広々とした明るい閲覧室には、パソコン端末があり、資料の検索、簡易閲覧ができます。都政の動きを年ごとに1冊に、コンパクトに分かりやすくまとめた「東京都行政資料集録」もありました。レファランス利用室や撮影室、行政利用室などもありました。情報検索システムで、自宅から公文書館が保有する特定歴史公文書などの目録のインターネット検索もできます。

1988年に施行された公文書館法では、「国及び地方公共団体は、歴史的資料として重要な公文書等の保存及び利用に関し適切な措置を講ずる責務を有する」とされました。2011年には、公文書管理法が施行され、自治体に対して、保有する文書の適正な管理に関する必要な施策の策定・実施を努力義務として課しています。東京都は公文書管理条例を制定していますが、自治体による公文書管理条例の制定は広がっていません。川崎市でも1984年に公文書館は設置されていますが、運用の条例はあっても、管理条例は制定されていません。

川崎市には、2019年の東日本台風による浸水で、収蔵品が大きな被害を受けた川崎市市民ミュージアムがあります。どのような経緯で浸水の可能性のある等々力緑地にミュージアムが設置されることになったのかが問題になりましたが、資料が残っておらず不明のままです。

こうしたことから見ても、自治体の意思決定に至る過程やその後の事業の遂行が適正であるかどうかを検証できる公文書の保管が必要なことは明らかです。

公文書管理法は、公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付けています。歴史的公文書の選別、保存、活用は市民に対する行政の責務です。公文書は行政のものではなく、市民のものです。公文書を適正に管理、保存し、住民に公開する仕組みを求めていきます。