「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」運用の見直しを ―差別をなくす・被害者を救済するために―

川崎市のヘイトスピーチの認定は、市の職員がヘイトスピーチに該当すると判断したものを、専門家で作る「川崎市差別防止対策等審査会」に諮問して、判断しています。

インターネットへの差別投稿で人権被害を受けたとして、市民が川崎市に申し出た件数は2020年度が338件、2021年度が5件、今年度は10月6日時点で0件です。このうち市が差別防止対策等審査会に諮問した投稿の件数は2020年度が8件、2021年度は4件で、すべてが不当な差別的言動に該当するとしてプロバイダ等に削除要請されました。また実際に削除された投稿の件数は2020年度が7件、2021年度は4件でした。

2020年6月に差別投稿の被害を申し出た市民は、市が338件中8件しか審査会に諮問しなかった判断を不服として、同じ投稿リストを2020年12月に横浜地方法務局に申し立てていましたが、今年9月、300件中192件が違法な人権侵害と認定されたと、弁護団が明らかにしました。

川崎市は投稿がヘイトスピーチに当たるかどうかを、国の「『ヘイトスピーチ解消法』に係る参考情報」を踏まえ、「表現の自由」に留意しながら、条例の規定の要件を満たすものについて適切に判断したと言い、国の人権審判事件の救済手続は「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に限らず、広く個人への名誉棄損やプライバシー侵害等の不法行為も対象に含まれる仕組みになっているからとしました。

しかし、多くの投稿が審査会にもかけられていないことについて、市の判断が正しかったのかどうかを検証すべきと質しました。同じ投稿に対して、市が「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に該当しないと判断し、国が該当するとしたものは、どのように差が生じたのかを検証し、今後の運用に生かしていくとのことです。

また条例を適正に運用していくためには職員の能力の向上が必要なことから、職員の研修が必要なことを指摘し、今年度中にインターネット上の人権侵害に関する研修の機会を設けるとの回答がありました。

人権侵害の実効性ある救済に向けて、これまでの限定的な条例の運用を見直し、適正な運用ができるよう提案しました。これからも引き続き注視していきます。